プールシーズン前にすること

プールシーズン前に、以下のことを行っておきましょう。

1.管理責任者と衛生管理者の選任

[管理責任者]

プールにおける安全かつ衛生的な維持管理および運営を確保するため、管理責任者をおくこと。


[衛生管理者]

プールにおける安全と衛生的な維持管理の実務を行なわせるため、衛生責任者をおくこと。
衛生管理者は、プールにおける安全及び衛生についての知識および技能を持つものをあてること。
(※なお、プール規模の実情に応じ、管理責任者と衛生管理者は同一の者が兼ねることも差し支えない。)

2.遊泳者の健康診断

●小児のメディカルチェック

  1. 問診(既住歴、家族歴、最近の自覚症状)
  2. 胸部聴診、血圧測定、耳鼻咽喉科検査
  3. 血液・尿検査(糖・淡白、必要に応じて潜血も)
  4. 胸部X線撮影
  5. 安静時心電図(必要に応じて運動負荷時も)

●成人のメディカルチェック

  1. 問診(既住歴、家族歴、最近の自覚症状) 
  2. 胸部聴診、血圧測定、鼓膜検査
  3. 血液・尿検査(血算、生化学検査、血糖値、尿定性)
  4. 胸部X線撮影
  5. 安静時心電図、運動負荷時心電図
  6. 自律神経反射試験(diving reflex試験)
  7. 肺機能検査(%肺活量、%一秒率)

●水泳を禁止または中止を考慮すべき疾患

1.全身運動に支障のあるもの 
2.心臓・循環器系に異常のあるもの 
3.眼、耳、鼻、皮膚に急性炎症のあるもの
4.その他、医師の判断により水泳を禁止された疾患など


●水泳を制限すべき疾患

1.虚弱体質   
2.特異体質  
3.慢性胃腸炎  
4.軽度の心臓・腎疾患  
5.喘息  
6.アレルギー性鼻炎、結膜炎
7.自覚症状のない貧血、脚気  
8.病後回復者  
9.肢体不自由者 

3.プール掃除を行う

1.掃除の準備

●殺藻

プール本体の壁面、底面に付着している藻を枯らす必要があります。
根こそぎ藻を死滅させていないと、藻の再発が早く、綺麗にしたプールに水を張ってもすぐ緑色になることがあります。

[殺藻の方法]

1.《次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合》
プール掃除予定日の5日~7日前にプール水100m3につき、1缶(20kg)~1.5缶(30kg)投入してください。
2.《殺藻剤(ジクロイソシアヌル酸等・製品名:アルジカット)を使用する場合》
プール掃除予定日の5日~7日前にプール水100m3につき、4kg投入してください。

●注意
・塩素剤は上記のどちらか一方(1もしくは2)にしてください。両者を混合させると毒ガスが発生します。
・高濃度の溶液なので目や皮膚にかからないようにゴーグル等保護具を着用して作業を行なってください。

・プールの壁に付着した頑強な「藻」を死滅させるためにプール壁面に投入してください。
・緑色のプール水(緑藻)が枯れ白色に変色します。


●プール水を排水する前に [諸機関への連絡]

1.《消防署への連絡》
ほとんどのプールが防火水槽であるため、掃除・工事などでプールを空槽にする場合は必ず最寄の消防署へ連絡を入れてください。
2.《用水路管理者への連絡》
農業用水路へ排水される地域にあたっては用水路管理者(一般には水利組合長又は、区長)へ連絡してください。


●プール水排水作業 [排水前の確認事項]

プール水の遊離残留塩素が0.1ppm(mg/l)である事を確認して下さい。

[参考]
もし高濃度であればクロールカット(塩素中和剤)等で中和させてください。

●注意
・残留塩素が高濃度のまま排水されると流入先の河川で鮒(フナ)、鮠(ハヤ)、鰌(どじょう)などの魚類等が死滅することがあります。
・掃除したプールへ「汚水」(赤水、錆など)を吐出させない予防策として、循環ろ過機を作動させ、ろ過機からプールまでの配管内の掃除をする方法があります。ただし、この作業は通常運転とは異なるので、当社(三洋興産)など専門業者に委託して実施してください。


●給水管の通水
掃除したプールにいきなり給水すると給水管の内部で長期間滞留した「汚れ」(赤水など)が吐出させることがありますので、 掃除の際、「汚れ」が吐出されなくなるまで、通水させてください


2.プール掃除の方法

●防水シート張りのプール

プールの立上り壁、特に水際はDNクリーナー・バスマジックリンなどを表面にスポンジタワシでこすりつけ、約10分間後放置後、水をかけながらスポンジタワシで擦ると「汚れ」が落ちます。

●注意

デッキブラシ・水切棒等はシートを破損する場合があるので、使用しないで下さい。


●アルミ・ステンレス・FRPのプール

各メーカーの指導に従ってください。(特にない場合は、防水シート張りのプールの方法で問題ありません。)


●コンクリート製プール(白セメント・モルタル仕上げ)

仕上がり面が劣化により「ざらざら」状になっている場合、凹の部分に付着した「藻」は頑固なため、
5日~7日塩素剤の投入による殺藻でも死滅していないことがあります。

《「藻」が完全に死滅していない場合の除藻方法》

・塩素剤の用意
1.次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合・・・(有効塩素12%)を2~3倍に薄めます。
2.殺藻剤(ジクロイソシアヌル酸等・製品名:アルジカット)を使用する場合・・・水10リットルに対し50gの割合で溶かします。

・除藻
樹脂製の如露で、その部分に振りかけ完全に死滅させてから、水をかけながらブラッシングしてください。

●注意

・塩素剤は上記のどちらか一方(1もしくは2)にしてください。両者を混合させると毒ガスが発生します。
・高濃度の溶液なので目や皮膚にかからないようにゴーグル等保護具を着用して作業を行なってください。
・残留塩素濃度を0.4ppm以下になるよう塩素中和剤で中和させてから排出してください。

[参考]

高圧洗浄機での掃除が便利です。

4.プール本体の点検

プール掃除が終了し、プールが空槽になっている機会にプール本体の点検をしておく必要があります。
特に、循環ろ過機への吸引口の吸込防止金具の取付、集水桝の蓋のビス止めなど完全かどうかの確認は大変重要です。

[共通点検項目]

プールのアクセサリー(ラダーハンドル、背泳グリップ、排水口の桝蓋等)の金属製部品に錆が発生し、腐食していないかの確認。


●コンクリート製プールの点検項目

・塗装、白セメント、モルタルなど仕上の部分の剥離がないか。
・コンクリートの亀裂・ひび割れ(クラック)がないか。


●防水シート張りプールの点検項目

・シートの破れ・亀裂がないか(シートの下に水が入りぷよぷよしていないか)。
・ピンホールの確認。


●金属製プールの点検項目

・温度差による伸縮の繰り返し・金属疲労のために亀裂が生じかけていたり、塗装が剥離しかけていないか。
※塗装の剥離は、錆の発生・腐食の原因になります。

5.付帯設備の点検(プールサイド・給排水設備等)

プールサイド等の歩床がツルツルになっている場所は転倒しやすくなります。逆に、劣化等によりザラザラしている場所は、転倒した際に擦過傷等の怪我を負いやすいので入念な点検が必要です。

6.電気設備の点検

必ず、公的資格を有するものに点検を委託する必要があります。

7.循環ろ過機、滅菌機の点検

プールの水張りが終了した時点(満水状態)で、プールろ過機、滅菌装置の点検をしておく必要があります。

●プールろ過機の種類

・硅藻土式ろ過機 ・砂ろ過機 ・カートリッジ式ろ過機
※点検及び始業は専門的知識もしくは公的資格が必要です。必ず、当社(三洋興産)など専門業者に点検を委託してください。